世界最高峰のスタートアップ・アクセラレーション・プログラム Y Combinator

Author’s note: I don’t often write content in Japanese (or in English, for that matter…), but I recently wrote the following at the request of a Japanese HBS classmate/friend who was doing a bit of research on US/Silicon Valley-based startup accelerator programs and the viability of creating similar programs in Japan. It obviously will not be of interest if you don’t read Japanese, but if you happen to read Japanese, please enjoy!

米国におけるスタートアップの事情に多少なりとも詳しい方々はご存知かと思いますが、Y Combinator(以下 ”YC”)は世界で最も実績のあるアクセラレーションプログラムです。過去にはAirbnbやDropbox、最近ではStripe、Coinbase、DoorDashといったユニコーン企業を輩出した、スタートアップ企業の登竜門的な存在です。2005年から累計で3,000社以上に出資しており、YCのポートフォリオ企業の時価総額は約70兆円を超えます。

YCはプログラムのオンライン化により国際化を一挙に進め、今や半数以上のスタートアップが米国外の企業になっています。最新の2022年夏期は、参加企業250社のうち、およそ40%が米国外を本拠地とするスタートアップ、その直前の2022年冬期は、参加企業399社のうちの51%が米国以外を本拠とするスタートアップでした。

YCに参加すると、出資の見返りにYCは7% 相当の株式を取得します。その7%が高いか低いかという議論はありますが、日本をチームの拠点にしながら世界レベルを目指すという目標に立ち返って考えると、世界市場へのエントリーチケット(入場料)としてはかなり妥当なのではないかと思います。

YCと聞いて多くの方が思い浮かべるのは年に2度行われるDemo Dayではないでしょうか。世界中のベンチャーキャピタルが集まる場でYCの出資を受けた企業が資金調達目的のため自社売込みのピッチを行う、というお祭り的なイベントなのですが、多くのYCに参加する創業者はここでのさらなる資金調達を目指します。

Demo Dayでシード投資を受けて一足飛びで成長していく劇的な展開もありますが、YCはシード段階の企業だけを支援しているわけではありません。もちろんシード期のスタートアップも多く、中にはメンバーが集まっていない、MVP(最小実行可能製品)がまだ無くアイデアだけで評価されて採択されることもあります。また、時には2016年の夏期に参加したMessageBirdの様な売上高20億円で黒字決算を誇る企業まで資金調達を行うなど実は各企業の発展段階は様々です。YCには北米に限らずヨーロッパ、アジア、南米といった各国からスタートアップが参加するなど非常に地域の多様性に富む顔ぶれです。YCはスタートアップへのアドバイスという個別性の高い付加価値を、毎年数百社というスケールで実現しています。

前置きが少し長くなりましたが、筆者は2018年夏期のYCに参加、ここでは実際にYCに参加して感じるメリットをお伝えしたいと思います。

YCに参加する一番のメリットはとにかく起業に関する知識と経験の蓄積と起業に関連する一大ネットワーク(コミュニティ)にアクセスできることです。まずは知識と経験について語ります。YCには自社製の 「Bookface」というプラットフォームが存在します。イメージとしてはWikipedia 、Quora (Q&A サイト)、と Facebook を合わせたようなプラットフォームで、ありとあらゆる起業に関する知識、ノウハウ、ヒントやコツが、最新情報で提供されています。例えば、会社のセグメント、フェーズに合わせてするべき必要なことがリストアップされており、具体的にどのステージでどの様なサービスを使うべきかが示されている、というような具合なのですが、とにかく情報の密度が高いです。定量的に解決策が見えている課題に対して、最短距離で答えに辿り着ける、不要な失敗を回避出来るということです。もちろんYCの創業者が増えるにつれて、Bookfaceプラットフォームの価値もあがるという典型的なネットワーク外部性は言うまでもありません。

次はネットワーク(コミュニティ)について語ります。起業家というのは、実はとても孤独なものです。自社のメンバー、顧客、サービス提供者、投資家、パートナー企業ー等、様々な相手とのつながりが求められるのが起業家ですが、いずれも利害の相反が生まれることが多い関係です。そのため、信頼して相談出来る相手はごく少数に限られます。その場合の相談相手になり得るのが他社の起業家です。起業家同士でしか話せないことは、実はすごく多いと思います。例えば他愛ないような悩みでも、「自分と同じような悩みを抱えているんだな」と安心することも多々あります。

YCに参加する各スタートアップはジャンル別にグループに分けられ、各グループに担当パートナーがつきます。パートナー達は例外なく全員実績&経験がともに豊富な元起業家。これだけ重層的なスタートアップ・コミュニティは世界中を見渡しても他には無いと思います。

YCパートナーは数百、人によっては千を超えるスタートアップ企業の成長を見てきています。例えばAirbnb創業者のブライアン・チェスキーがシード期にどんな悩みを抱え、それをどう突破したのか。決済システムを提供するStripeのコリソン兄弟がどんな成長曲線を描いたのか。そうした Before & Afterをリアルで見てきている。プログラム期間である3ヶ月間でユニコーンとなるスタートアップを見分けられると言うパートナーもいます。彼らの存在がYCの基盤を支えているのは言うまでもないでしょう。

YCパートナーがプログラムの卒業生から構成されているのもポイントです。YC出身のユニコーン企業の創業者がパートナーとなって次の世代を支えていくシステムなので、常に最新の生きた情報へと刷新されていきます。すでに大型の資金調達をしている企業や、一度自社の売却を経験した起業家が再びYCに参加するのもこの為で、成功確率の高い人がより成功確率を高めるために参加するようなコミュニティになっているのです。

また、YCのプログラム終了後も卒業生同士のネットワークは活発に継続します。絆の強い大学の同窓会をイメージしていただくといいかもしれませんが、そこでのつながりから顧客が見つかったり、ビジネスが発展したり、新しいアイデイアが生まれたりすることはよくあることです。非常にアメリカ的で、良くも悪くも仲間意識が強い面はあるのですが、こうしたコミュニティを活用できることは極めて得難いメリットの一つとして挙げられます。

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