利枝のアート探訪No.3「カラヴァッジョ展:ドラマチックな人生との対話」

カラヴァッジョを知っている人はどのくらいいるでしょうか?おそらく作品よりも、38歳で亡くなったあまりにも波乱万丈な天才画家という彼の人生の方が強く印象に残っているではないでしょうか。

Caravaggioカラヴァッジョ展の会場に入ってまず目にするのは、明るいイメージの「女占い師」。しかし酒場で乱闘を繰り返す彼の荒れた生活は、作品から明るさを奪っていきます。そして殺人を犯しローマに逃亡した直後に描かれた「光のドラマ」以降は、深い闇が宿り、静寂な時が流れていきます。彼の作品はまさに波乱万丈な人生を代弁しているのです。

私は美術館を訪れる時はいつも作品を通して、作者と対話をしているような気がします。画家は自分の人生をキャンバスに刻み、私は、画家が確かに生きた時間と人生の物語を一つ一つのタッチから感じ取っていく。絵画鑑賞は作者との時空を超えたコミュニケーションなのです。

最近AI(人工知能)によるレンブラントの「新作」が発表され、話題になりました。もし38歳で亡くなったカラヴァッジョのドラマチックな人生の物語をAIが紡ぐとしたら、どのような作品を描くのでしょうか?そしてその作品の前に立った時、何を感じ、どのような対話を行うのでしょうか?

カラヴァッジョ展(CARAVAGGIO and His Time: Friends, Rivals and Enemies)
2016年3月1日[火] – 6月12日[日] まで国立西洋美術館(東京・上野公園)にて開催中

高橋利枝(メディア・エスノグラファー、早稲田大学文学学術院教授 )

About Toshie Takahashi

Toshie Takahashi is Professor in the School of Culture, Media and Society, as well as the Institute for Al and Robotics,Waseda University, Tokyo. She was the former faculty Associate at the Harvard Berkman Klein Center for Internet & Society. She has held visiting appointments at the University of Oxford and the University of Cambridge as well as Columbia University. She conducts cross-cultural and trans-disciplinary research on the social impact of robots as well as the potential of AI for Social Good. 【早稲田大学文学学術院教授。元ハーバード大学バークマンクライン研究所ファカルティ・アソシエイト。現在、人工知能の社会的インパクトやロボットの利活用などについて、ハーバード大学やケンブリッジ大学と国際共同研究を行っている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジー諮問委員会委員。】
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