2019年5月9日、ニューヨーク。コロンビア大学のボイス工学部長とシニアディレクターのフヴァル教授と一緒に、工学部のシニアデザイン・エキスポを訪問しました。
コロンビア大学工学部は、スタンフォード大学よりもいち早く、”ヒューマニティのためのエンジニアリング(Columbia Engineering for Humanity)”を理念として掲げており、持続可能性、健康、安全性、つながり、クリエイティブの5つのプロジェクトからこの理念を支えています。
今回訪問したシニアデザイン・エキスポは、4年生の卒業作品の展示会のことです。この展示会は、広く近隣のコミュニティにも開かれており、地元の小学生も多く訪れていました。子供達の喜ぶ顔を見て、フヴァル教授は小さい時からロボットに興味を持って欲しいからとても嬉しいとおっしゃっていました。
今回、展示会を案内して頂いて、日本との違いについて2つの点に気がつきました。
一つは、工学部なのに女子大生が多いということ。コロンビア大学工学部の47%は女子学生だそうです。シニアデザイン・エキスポで会った女子大生たちはみな就職や大学院への進学が決まっていて、自分たちが製作した作品とともに、自信に満ち溢れ、卒業後の人生に意気揚々としていたのが印象的でした。
もう一つは、ロボットの展示会と聞いて、いわゆる人型ロボットや、人間を感じさせるようなロボット、あるいは動物や可愛い系のロボットを想像して行ったのですが、実際にそういう生き物を感じさせるようなロボットはほとんどありませんでした。
日本でロボットというと人型や動物など有形のロボットを思い浮かべますが、西欧では無形で組み込まれているシステムを意味することも多いようです。
例えば、女子大生たちが作ったピンクのドローンは、ヘリコプターのように垂直飛行や安定した水平飛行ができるそうです。
また、災害の多いプエルトリコのために安定した電力供給をするソーラーシステムや、腕に障害のある子どもが決まった時間に腕を動かすエクササイズをし、そのデータが自動送信されるような腕時計型システムなど、企業と連携して社会的問題解決のための多くの作品が展示されていました。このようなゲーム型のロボットは、社会とのつながりを促進したり、頭脳や身体を動かしたりするために、特に重要な役割を果たすそうです。
「ヒューマニティーのためのエンジニアリング」。素晴らしいですね!学生さん達が製作した作品は、どれも人々のために役に立つものばかりでとても感動しました。日本でも、このような「ソーシャルグッドなAI/ロボット」のイノベーションをどんどん促進していきたいと思います!