2019年5月23日と24日の2日間にわたってコロンビア大学主催の『AIの歴史(Towards a History of Artificial Intelligence)』が開催されました。
昨年英国ケンブリッジ大学で開催された『AIの歴史(HIstory of AI)』イベントの第2弾なのですが、さすがにNYとあって多様な専門家によって、AIに関するラディカルな議論が行われました。
中でもAI NowのMeredith Whittaker氏は、グーグルに30年間務めており、グーグルだけではなく、フェイスブックやアマゾンなどによるAI開発の現状とリスクに言及しました。例えば顔認証システムに関して、企業は単なる性別や人種、名前が知りたいのではなく、その人が良い労働者なのか、テロリストなのか、という問いに対して「YESかNOか」という情報を求めている点。また、データバイアスによってAIが引き起こす社会的な不平等や、AIを使用するためにかかる多大な費用などについても言及しました。
ケンブリッジ大学で行われた「AIの歴史」では、オートメーションに内包される西欧から東洋に対するオリエンタリズムなどが議論に上がりましたが、コロンビア大学で行われたイベントでは、ジェンダーや人種などアメリカ国内における不平等がAIによって強化されることに対するリスクが議論されました。
今、私たちは新たなAI社会の歴史を築こうとしています。20年後、30年後、50年後、未来の学生が「AIの歴史」を語る時に、恥ずかしくないように、きちんとリスクマネジメントをし、より良い社会の創造に注力することが大切だと思います。
ご招待してくださったコロンビア大学の歴史学者Matthew L. Jones教授に心より感謝いたします。