グローバル社会におけるソーシャルメディアの可能性@Social Media: Transforming Audience 4(英国ウェストミンスター大学)

Facebook, Twitter, Lineなど、現在世界的に普及しているソーシャル・メディアのグローバル社会における可能性について、英国ウェストミンスター大学で発表をしました。今回は、この学会発表の内容について、2013年夏に行った高校生と大学生を対象にしたアンケート調査とインタビュー調査の結果を交えながら、簡単にお話したいと思います。

Facebookとつながり

 

2013年にフェイスブックは利用者が世界で11億人となり、最も人気の高いソーシャルメディアと言われています。アメリカのコミュニケーション様式によって作られたFacebookを日本の若者はどのように利用しているのでしょうか?

 

高校生と大学生を対象にしたアンケート調査で、Facebook利用者に聞いたところ最も多かった回答は「ニュースフィードから友だちの情報を得ている」(85%)。次に多かったのは「暇つぶしのための利用」(79%)。そして「投稿のシェアや『いいね』をする」(70%)でした。また、多くの人がFacebook上で昔の友達(70%)や海外にいる人(61%)とつながっていると答えています。一方、インタビュー調査からは、旅行やディズニーランド、プチ体験など様々な写真をアップして「リア充」に見せたり、Facebookを利用して印象管理をしている様子が伺えました。

 

Lineと異文化コミュニケーション

 

日本のコミュニケーション様式を参照して作られたLineも、現在ではアジアやスペイン語圏を中心に普及し、201311月には世界で計3億人を突破しました。そのうちの約80%は海外の利用者です。FacebookLineなどのような世界的に普及しているソーシャルメディアでは、国内ばかりでなく、国境を超えたつながりによって、「遠くの他者」と親密なコミュニケーションを行っている人もいます。

 

私がインタビューした人の中でも日本人の友人ばかりでなく、外国人ともLineで絶え間ないつながりを持っている人もいます。例えば、アイさんは日本に住むシリア人やタイに住むタイ人など、日本語のあまり上手ではない外国人ともLineでスタンプを交えてコミュニケーションをとっています。

 

アイ:私は外国人とも日本語で会話しているから、スタンプがあってよかった。あんまりみんな日本語上手じゃないし。スタンプがある方が伝わりやすいから。

リサーチャー:でも逆にスタンプの意味を取り違えたり、ミス・コミュニケーションはないの?

アイ:ないです。わかりやすいスタンプしか使わないから。笑ってるとか、怒っているとか。誰が見てもわかるような。

リサーチャー:じゃあ日本人の人とコミュニケーションをとる時と違うスタンプを使ってるの?

アイ:そう。全然違う。

 

彼女たちは異文化に住む「遠くの他者」と、使う言語や言葉、スタンプなどのイメージを選びながら、ライン上で思いやりや感情を伝えたり、お互いを理解するために頻繁にコミュニケーションをとっています。シェリー・タークル(2011)は「デジタル化された友情」の浅さについて懸念していますが、若者たちはただ機械的につながっているだけではなく、言葉や文化の違いを超えて「対話」をしているのだと思います。

 

ソーシャルメディアとグローバルなウチ

 

私たちは今、ソーシャルメディアによって同時代に生きる「他者」と時空を超えてつながることが可能となっています。このようなソーシャルメディア上で、遠くの他者と頻繁に対話することによって、親密性と情緒的な絆が生まれ、遠くの他者は、いつしか近くの仲間へと変わっていくかもしれません。この過程において、互いの文化的な違いやコミュニケーションの違いに、とまどいやいらだちを感じるかもしれません。しかし、葛藤しながらも、文化的な差異を越えてお互いを尊重しあうことの大切さや喜びを学ぶことが出来るかもしれないのです。

 

国境を超えた絶え間ないコミュニケーションによって、異文化理解を深め、絆や道徳的責任感などが培われていくならば、今日の混沌とした世界において「グローバルなウチ」と呼べるような文化的差異を超えた親密な関係性を築くことが出来るのではないでしょう。

 

注釈

1.Takahashi, T. “Audience engagement between local and global media worlds: Japanese youths and their social media”. Social Media, Transforming Audiences 4, University of Westminster, London, UK, September, 2013.

 

2.調査概要

調査名称:YMG(若者、メディア、グローバル化)に関するアンケート調査

調査主体:早稲田大学文化構想学部高橋利枝研究室

調査項目:携帯電話・スマートフォン、ソーシャルメディア(Facebook, Line, Twitterそれぞれ)の利用状況と利用者意識、デジタル・リテラシー、リスク、グローバル人材

調査対象:大学生100名と高校生100名(男女比はいずれも1:1)

調査方法:学生調査員が調査票を配布

調査時期:2013年8月

回収状況:有効回収数200件

 

参考文献

Turkle, S. (2011) Alone Together: Why We Expect More from Technology and Less from Each Other (New York: Basic Books).

 

About Toshie Takahashi

Toshie Takahashi is Professor in the School of Culture, Media and Society, Waseda University, Tokyo and Faculty Associate at the Harvard Berkman Klein Center for Internet & Society. She has held visiting appointments at the University of Oxford and the the University of Cambridge as well as Columbia University. She conducts cross-cultural and trans-disciplinary research on the social impact of robots as well as the potential of AI for Social Good. 【早稲田大学文学学術院教授。ハーバード大学バークマンクライン研究所ファカルティ・アソシエイト。ケンブリッジ大学ならびにコロンビア大学客員研究員。現在、人工知能の社会的インパクトやロボットの利活用などについて、ハーバード大学やコロンビア大学、ケンブリッジ大学と国際共同研究を行っている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジー諮問委員会委員。】
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