Author Archives: Toshie Takahashi

About Toshie Takahashi

Toshie Takahashi is Professor in the School of Culture, Media and Society, as well as the Institute for Al and Robotics,Waseda University, Tokyo. She was the former faculty Associate at the Harvard Berkman Klein Center for Internet & Society. She has held visiting appointments at the University of Oxford and the University of Cambridge as well as Columbia University. She conducts cross-cultural and trans-disciplinary research on the social impact of robots as well as the potential of AI for Social Good. 【早稲田大学文学学術院教授。元ハーバード大学バークマンクライン研究所ファカルティ・アソシエイト。現在、人工知能の社会的インパクトやロボットの利活用などについて、ハーバード大学やケンブリッジ大学と国際共同研究を行っている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジー諮問委員会委員。】

コロンビア大学主催の『AIの歴史』に参加しました!

2019年5月23日と24日の2日間にわたってコロンビア大学主催の『AIの歴史(Towards a History of Artificial Intelligence)』が開催されました。 昨年英国ケンブリッジ大学で開催された『AIの歴史(HIstory of AI)』イベントの第2弾なのですが、さすがにNYとあって多様な専門家によって、AIに関するラディカルな議論が行われました。 中でもAI NowのMeredith Whittaker氏は、グーグルに30年間務めており、グーグルだけではなく、フェイスブックやアマゾンなどによるAI開発の現状とリスクに言及しました。例えば顔認証システムに関して、企業は単なる性別や人種、名前が知りたいのではなく、その人が良い労働者なのか、テロリストなのか、という問いに対して「YESかNOか」という情報を求めている点。また、データバイアスによってAIが引き起こす社会的な不平等や、AIを使用するためにかかる多大な費用などについても言及しました。 ケンブリッジ大学で行われた「AIの歴史」では、オートメーションに内包される西欧から東洋に対するオリエンタリズムなどが議論に上がりましたが、コロンビア大学で行われたイベントでは、ジェンダーや人種などアメリカ国内における不平等がAIによって強化されることに対するリスクが議論されました。 今、私たちは新たなAI社会の歴史を築こうとしています。20年後、30年後、50年後、未来の学生が「AIの歴史」を語る時に、恥ずかしくないように、きちんとリスクマネジメントをし、より良い社会の創造に注力することが大切だと思います。 ご招待してくださったコロンビア大学の歴史学者Matthew L. Jones教授に心より感謝いたします。  

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ソーシャルグッドなAI/ロボットのフィールドワーク:MITメディアラボ

2019年5月14日、アメリカのケンブリッジ。MITのウィリアム・ウリッキオ(William Uricchio)教授のラボを訪問しました。MITメディアラボは、「ディシプリンを持たない文化(antidisciplinary culture)」を理念として掲げていることが広く知られています。実際に、どのように研究プロジェクトが進められているのでしょうか? MITメディアラボでは、建築が母体の理工系のメディアラボと、ウリッキオ先生が所属する人文社会系の比較メディア研究(Comparative Media Studies)が、一体となってプロジェクトが進められているそうです。というよりむしろ、ウリッキオ先生の忌憚のないご説明によると、工学系の研究者によって自由な発想で創られた「何の役に立つのかよくわからないもの」に、ウリッキオ先生達がアイデアを注いで、「社会の役に立つものに転換して行く」のだそうです。この「ブランディング」の作業もまた、試行錯誤を伴う結構大変な作業で、しかしながら逆にこのブランディングが成功しないと、スポンサー企業を魅了する事が出来ないそうです。 メディアラボのショーケースに並べられている美しい作品の前で、「表向きは美しいけど、裏は地味な作業なんだ」と言って、ガラス越しに見えるたくさんの作業机の上に煩雑に置かれた部品やコンピューターを指差して説明してくれました。 まさに職人の世界。MITというとキラキラした輝かしい側面ばかりが強調されますが、日本人がこれまで大切にしてきた地味な職人の世界の上に成り立っているのですね。そしてその職人達の手によって生まれたばかりの技術を社会に役立つように磨き上げるために知恵を絞る人達がいる。この両方の連携によって、キラキラしたMITメディアラボが成り立っているという事がわかりました。 MITのキャンパスには、このような創造力を刺激するような様々なアートがあります。例えば、フランクゲーリーによってデザインされたRay and Maria Stata Centerはとても有名です。私が訪問した時は、建物の中にモチーフとしてオブジェの上にパトカーが飾ってありました。このパトカーの番号がπだったり、お巡りさんがドーナツが好きなのでドーナツが上に付いてたりと、遊び心がいっぱいのキャンパスです。 オープンドキュメンタリー・ラボの創立者であるウリッキオ先生と、AIやアート、ロボット、VR、テクノロジーの過去と未来などなど、とても刺激的なお話をしているうちにあっという間に時間が過ぎてしまいました。 お忙しい中ご招待頂きまして、どうもありがとうございました。

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ソーシャルグッドなAI/ロボットのフィールドワーク:コロンビア大学工学部シニアデザイン・エキスポ

2019年5月9日、ニューヨーク。コロンビア大学のボイス工学部長とシニアディレクターのフヴァル教授と一緒に、工学部のシニアデザイン・エキスポを訪問しました。 コロンビア大学工学部は、スタンフォード大学よりもいち早く、”ヒューマニティのためのエンジニアリング(Columbia Engineering for Humanity)”を理念として掲げており、持続可能性、健康、安全性、つながり、クリエイティブの5つのプロジェクトからこの理念を支えています。 今回訪問したシニアデザイン・エキスポは、4年生の卒業作品の展示会のことです。この展示会は、広く近隣のコミュニティにも開かれており、地元の小学生も多く訪れていました。子供達の喜ぶ顔を見て、フヴァル教授は小さい時からロボットに興味を持って欲しいからとても嬉しいとおっしゃっていました。 今回、展示会を案内して頂いて、日本との違いについて2つの点に気がつきました。 一つは、工学部なのに女子大生が多いということ。コロンビア大学工学部の47%は女子学生だそうです。シニアデザイン・エキスポで会った女子大生たちはみな就職や大学院への進学が決まっていて、自分たちが製作した作品とともに、自信に満ち溢れ、卒業後の人生に意気揚々としていたのが印象的でした。 もう一つは、ロボットの展示会と聞いて、いわゆる人型ロボットや、人間を感じさせるようなロボット、あるいは動物や可愛い系のロボットを想像して行ったのですが、実際にそういう生き物を感じさせるようなロボットはほとんどありませんでした。 日本でロボットというと人型や動物など有形のロボットを思い浮かべますが、西欧では無形で組み込まれているシステムを意味することも多いようです。 例えば、女子大生たちが作ったピンクのドローンは、ヘリコプターのように垂直飛行や安定した水平飛行ができるそうです。 また、災害の多いプエルトリコのために安定した電力供給をするソーラーシステムや、腕に障害のある子どもが決まった時間に腕を動かすエクササイズをし、そのデータが自動送信されるような腕時計型システムなど、企業と連携して社会的問題解決のための多くの作品が展示されていました。このようなゲーム型のロボットは、社会とのつながりを促進したり、頭脳や身体を動かしたりするために、特に重要な役割を果たすそうです。 「ヒューマニティーのためのエンジニアリング」。素晴らしいですね!学生さん達が製作した作品は、どれも人々のために役に立つものばかりでとても感動しました。日本でも、このような「ソーシャルグッドなAI/ロボット」のイノベーションをどんどん促進していきたいと思います!

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招待講演:コロンビア大学主催『AIとアートの未来』サミット@ニューミュージアム NY

2019年4月24日から27日まで、コロンビア大学、ナイツ財団、ニューミュージアム主催の「AIとアートの未来サミット」に招待して頂きました。 NYが一望できるニューミュージアムの最上階、スカイルームで「AIとロボットの社会的インパクト」について、キーノートスピーチをしました! コロンビア大学工学部学部長を始め、ニューミュージアムやアンディ・ウォーホール美術館、ウィットニー美術館の館長やキュレーター、ニューヨーク市議会、MITやハーバード、NYU、グーグル、ブルームバーグ、ナイツ財団やロックフェラー財団の会長など、AI、アート、ビジネスの第一線の方達が集まって、4日間、AIについて議論を重ねました。 このサミットの参加者は、世界全国からノミネートされた200名以上の中から、50名に絞って選ばれたそうです。こんな貴重なサミットに選んで頂いてとても光栄です! ご招待頂きましてどうもありがとうございました。 プログラム Opening Kickoff Event: Wednesday, April 24th 6:30pm–9:30pm: The New Museum Theatre (Open to the Public) Summit Day One: Thursday, April 25th 8:30am–6:30pm: The New Museum (Summit Participants Only) 7:00pm–9:00pm: Evening Partner Activations (Summit Participants … Continue reading

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在英日本大使館主催「教育におけるテクノロジーとヒューマニティ」が日経ヴェリタスに掲載されました!

2019年3月1日にロンドンで開催された在英日本大使館主催のイベント「教育におけるテクノロジーとヒューマニティ」の概要が日経ヴェリタス4月7日号に掲載されました。 駐英国特命全権大使の鶴岡公二さま、渡辺克也総務省総務審議官、NEC榎本亮CMO、ソフトバンク古野雅人さま、ウフル園田崇CEO、オックスフォード大学のTaddeo先生などと共にご紹介頂きまして、とても光栄です。 ご参考になれば幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

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招待講演:ボストン大学主催のAlとロボットのシンポジウム

2日間にわたってボストン大学にて、Alとロボットのシンポジウムが開催されました。http://sites.bu.edu/emsconf/ 私はこのシンポジウムのインターナショナル・アドバイザーとして、また、2日目の” Should Robots Be Our Friends? Ethical and social scientific implications of the growing emotional engagement of humans with AI agents and robots”と題した、ロボットと人間の関係に関するシンポジウムで発表をしました。 今回のシンポジウムは、ボストン大学コミュニケーション学部が主催しているため、哲学や社会学、心理学など多くの人文社会学系の研究者が出席し、ロボットの権利(人権とは違う権利)の必要性や、Siriや Alexaとのエンゲージメントに関する米中間比較調査など、興味深い調査結果が報告されました。 ノーベル物理学受賞者のシェルドン・グラショー教授からは、今みんなが心配している人間を超えるスーパーインテリジェンスAIやシンギュラリティは、起こり得ないだろうというお話を頂きました。 このAGIに関する同様の批判は、ケンブリッジ大学人工知能グループ代表のJohn Daugman教授からもセミナーに出席した際に聞かれており、私たちはSFのイメージに惑わされるのではなく、AIに関するより現実的なしっかりとした理解が必要なのだと思いました。 ご招待頂いたボストン大学のJames Katz先生と関係者の皆さまにに感謝致します。

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国際学会発表:英国文学科学学会でのグローバルAIナラティブ・パネル発表

2019年4月4日、英国ロンドン大学ロイヤル・ハロウェイにて、英国文学科学学会が開催されました。私もケンブリッジ大学CFI研究所の一員として、AIナラティブのパネル発表に参加しました。 パネルでは、まずKanta Dihalがイギリスをはじめとする西欧におけるAIナラティブの歴史、BBCによるオーディエンスの意識調査の結果について発表しました。次にBeth SinglerがAIやロボットのナラティブに関するツイッター分析の結果について報告しました。最後に私が西欧と日本のAIナラティブについての国際比較と、日本のAIナラティブについて歴史的・社会的文脈から説明をしました。 会場からは、主に西欧と日本のAIナラティブの差異について多くの質問がなされました。また、コミュニケーション研究者からは、私の複雑系を用いたコミュニケーションの複雑性モデルについて、線形から非線形モデルへのパラダイムシフトという点に大きな関心を持って頂きました。 ロイヤル・ハロウェイのキャンパスは、ハリーポッターの映画も撮影された美しいキャンパスです。学会開催中は、まるでハリーポッターの世界に飛び込んだみたいでした。 そして後日、私たちのパネルは、英国文学科学学会のニュースレターにおいて、「最先端の学際的研究」と評価して頂きました!! “an intriguing insight into the kind of cutting-edge and interdisciplinary work being conducted at the Leverhulme Centre for the Future of Intelligence in Cambridge” プログラム:BSLS-Timetable-2019 BSLS-Newsletter-Spring-2019  

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AIやロボットの西洋と東洋の違いについて、ケンブリッジ大学のポッドキャストに挑戦しました!

2019年4月1日、 AIやロボットの西洋と東洋の違いについて、ケンブリッジ大学の「知の未来」研究所のBeth Slingerとポッドキャストに挑戦しました。 AIやロボットに関する日本と西欧の差異に関しては、これまで思想や宗教的な観点から主に多く説明されてきました。例えば,西欧のキリスト教に対する東洋の儒教,日本におけるアニミズムやテクノアニミズムなど。 そのためこのポッドキャストでは、ケンブリッジ大学との共同研究「グローバル・AIナラティブ」プロジェクトから歴史的・社会的文脈とともに説明を試みました。 さらに日本の実態を伝えるために若者や高齢者に対する調査研究についても触れました。 最後に今後のAI/ロボット開発において必要な「ヒューマン・ファースト・イノベーション」について少しお話ししました。

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招待論文:『人工知能(AI)とロボットがもたらす社会的インパクト:「ヒューマン・ファースト・イノベーション」に向けて』情報システム学会「AI時代における人間中心の情報システム」特集号

2019年3月31日、情報システム学会「AI時代における人間中心の情報システム」特集号が発行されました。 「人工知能(AI)とロボットがもたらす社会的インパクト:「ヒューマン・ファースト・イノベーション」に向けて」というタイトルで、これまでのAIやロボットに関する研究や国際学会での経験をまとめさせて頂きました。 少しでも皆さまの参考になる事がございましたら、とても嬉しいです。ご依頼頂きました砂田薫先生および学会関係者の皆さまに心より感謝いたします。 要旨 本論文の目的は,人工知能(AI)やロボットがもたらす社会的インパクトを理論的かつ経験的に捉えることである.まず理論枠組みとして,これまで理論と経験的調査研究との往還運動を通して発展させてきた「コミュニケーションの複雑性モデル」について紹介をする.次に,AIやロボットに関する日本と西欧の差異についてアプローチしていく.両者の差異に関しては,これまで思想や宗教的な観点から主に多く説明されてきた.そのため本稿では,ケンブリッジ大学との共同研究「グローバル・AIナラティブ」プロジェクトから,1920年代以降のAIナラティブについて社会経済的な力学から考察を試みたいと思う.さらに人とAI/ロボットとのエンゲージメントに関する実態について,現在行なっている2つの調査研究—若者とAI調査,高齢者のロボット・エンゲージメントから考察する.最後に今後のAI/ロボット開発において必要な「ヒューマン・ファースト・イノベーション」について提案したいと思う. 高橋利枝「人工知能(AI)とロボットがもたらす社会的インパクト:「ヒューマン・ファースト・イノベーション」に向けて」情報システム学会誌, Vol.14, No.2, 2019.3. [PDF}]    

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ケンブリッジ大学主催「Alの未来」ワークショップに参加しました。

2019年3月25日、ケンブリッジ大学主催のICTのAl、AICT(=AI+ICT)に関する「Alの未来」ワークショップに参加しました。 英国議会の人工知能委員会、ケンブリッジ大学、ロンドン大学、グーグルのエンジニアなどが、ディープラーニングの限界やデータのバイアス、倫理概念の定義の難しさなど、様々な課題について紹介しました。 例えば、ケンブリッジ大学のエイドリアン・ウェラー(Adrian Weller)博士は、「透明性」の概念一つとっても、開発者、利用者、規制など政策立案者の立場によって意味するものが違うため、定義つけることは困難であると述べています。 このように、AI倫理で用いられている概念は(「公平性」や「説明責任」、「透明性」など)非常に高度で抽象度が高い一方で、現実社会における倫理は個々の社会的文脈に依拠しているのです。 The Future of Artificial Intelligence: Language, Ethics, Technology 25 March 2019, 10:00 – 17:00 Room SG1, The Alison Richard Building, 7 West Road, Cambridge, CB3 9DT This is the inaugural workshop of Giving Voice to … Continue reading

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