2016 年度春季(第34回)国際コミュニケーションフォーラムが、6月25日(土)に東京国際大学にて開催されました。「観光は情報産業である!」というキーワードを軸に、2020年東京オリンピックに向けて、クールジャパン海外戦略、ビッグデータ解析、ソーシャルメディアなど、新たな観光ビジネスの可能性について刺激的なディスカッションが行われました。
今回の国際コミュニケーション・フォーラムでは、メインテーマを「情報産業としてのツーリズム」として、基調講演とパネルディスカッションが行われました。
パネリスト:
豊嶋基暢(総務省 情報流通行政局 情報通信作品振興課長)
市井三衛(特定非営利活動法人映像産業振興機構 事務局長)
小野智弘(株式会社KDDI研究所執行役員 グリーン・クラウド部門長)
趙敬(中国伝媒大学 ニューメディア研究院 助教授)
コメンテーター:今井敏行(株式会社JTB 取締役 国内事業本部長)
モデレーター:高橋利枝(早稲田大学 文学学術院 教授)
基調講演では、株式会社JTB 取締役 国内事業本部長の今井敏行様より、「ICT時代を迎えたツーリズム産業のこれから」について、ICTの発展が旅行業にもたらした変化、パーソナルメディアとツーリズム、「ICT」・「リアル」とツーリズムについてお話し頂きました。特に、「パーソナルメディアとツーリズム」の中で、「あらゆるものがツーリズムコンテンツになる」というお話と、「海外への情報発信手段としてのパーソナルメディア」についてのお話は、ソーシャルメディア時代のツーリズムを考える上で大変興味深いものでした。
パネルディスカッションでは、まず総務省 情報流通行政局 情報通信作品振興課長の豊嶋基暢様より、「放送コンテンツの海外展開戦略」と題して、放送コンテンツの海外戦略の概要、タイとマレーシアの事例、そしてその経済効果についてお話し頂きました。
次に、特定非営利活動法人映像産業振興機構 事務局長 市井三衛様より、「地域発コンテンツ等海外展開支援事業(JLOP)及びインバウンド等への波及効果」と題して、クールジャパン戦略、経産省コンテンツ振興施策、J-LOP+ についてお話し頂きました。映像コンテンツの活用事例として、魚津市の蜃気楼をご当地キャラクターとした「ミラたん」による台湾人観光客のインバウンド施策や、茨城県の観光と文化をPRするアニメ「あぐかる」をベトナム向けにローカライズして放送した事例をあげられました。特にキャラクターコンテンツの活用事例として、外国人にマンガで日本をガイドする「旅行アプリ」はとても興味深かったです。
3番目の登壇者として、株式会社KDDI研究所 執行役員 グリーン・クラウド部門長の小野智弘様より、「観光産業とICT技術」と題して、旅行前、中、後の旅行ステージに合わせたICT技術の活用の事例についてお話頂きました。翻訳アプリや多言語翻訳システムを搭載した観光タクシーを使用した鳥取での実証実験、ソーシャルメディア・位置情報などビックデータ解析によるサポートについて、事例をあげてわかりやすくご説明頂きました。
最後に、中国伝媒大学 ニューメディア研究院 助教授の趙敬様より、「訪日中国人観光客の爆買いから見る情報観光業」と題して、訪日中国人観光客の実態、要因と動向、インターネットによる情報収集などについてお話し頂きました。
基調講演でお話いただいた今井敏行様にコメンテーターとして残って頂き、4人のパネリストの方々と、今井様、フロワーを交えた刺激的なディスカッションが行われました。
最後に、2020東京オリンピックに向けて、第4次産業革命における観光ビジネスの可能性、「観光ビジネスのチャンスとリスク」について、今後の具体的な目標、政策、技術開発、ソーシャルメディアやインターネットを利用した海外戦力など、あるいは、乗り越えなければならない今後の課題などについて、ご登壇いただいた皆様から一言ずつお話して頂きました。
新たな科学技術によって観光ビジネスにイノベーションを起こし、地域を活性化するためにはどうしたらいいのか、引き続き探求していきたいと思います!
パネリストの皆さま、基調講演からコメンテーターまで勤めて下さった今井敏行さま、パネルの企画にご尽力頂きましたビッグデータ研究会の菅谷実先生、上原伸元先生、情報通信学会事務局及び東京国際大学の皆さま、そして参加して下さった全ての皆さまに心より感謝いたします。
主催 情報通信学会
共催 公益財団法人KDDI財団
後援 総務省ほか