2017年3月6日、7日、早稲田大学にて、DAH/ハーバード大学とのAIに関する国際シンポジウムを開催致しました。
この国際シンポジウムでは、メインテーマを「AI for Social Good」として、様々な問題解決のためにAIを活用し、より良い社会を作るためのAIについて焦点を当てました。「AI化された社会を生きるために必要なものとは〜2020年、2030年に向けて、今私たちに求められていること〜」について、基調講演、トークセッション、パネルディスカッション、アートイベント、ワークショップが行われました。
オープニングの基調講演では、東京大学准教授松尾豊様が、人工知能のブームを歴史的に捉えると共に2030年に向けてAI研究の将来の展望についてお話になりました。
セッション1「AI:言語と学習」では、Katholieke大学Bettina Berendt様が「AIと倫理」について、情報通信機構・脳情報通信融合研究の西本信志様が「人間の脳における意味表現」について、株式会社KDDI総合研究所の研究開発部長井ノ上直己様が「KDDI総合研究所で開発中の実用的AIアプリケーション」について、Tencent&Peking大学Danit Gal様が日本のロボット政策についてお話になりました。
セッション2「AI:ガバナンスと政府」では、ハーバード大学バークマンクラインセンターのRyan Budish様が「AIガバナンスへの挑戦」について、総務省情報通信政策研究所調査研究部長福田雅樹様が「AIネットワーキングとガバナンス」について、ロンドン王立協会からは機械学習プロジェクト担当のMichael Veale様が「パブリックセクターにおける機械学習の現在と未来」について、株式会社村上憲郎事務所代表取締役であり元グーグル (米国本社)副社長、元グーグル(日本法人)名誉会長、大阪工業大学客員教授の村上憲郎様が「AIネットワークのグローバルガバナンス」についてお話になりました。
セッション3「AI:健康とバイオメディカル倫理」では、シリコンバレーのグーグル本社からは機械学習チームのKatherine Chou様とLily Peng様が「医療における機械学習」について、オックスフォード大学のオックスフォードインターネット研究所からバイオメディカル倫理ビッグデータプロジェクト担当のBrent Mittelstadt様が「医療分野におけるアルゴリズムの倫理」について、東京大学大学院数理科学研究科特任教授であり株式会社Mercury代表取締役社長兼CEOの大田佳宏様が「AIスマートロボットシステム」についてお話になりました。
トークセッションでは、エコノミストインテリジェンスユニット(EIU)Christopher Clague様が「2030年に向けてAIが社会・経済に与える影響」について、株式会社ブレインパッド・AI開発部長の太田満久様がケーススタディを、そしてArtez大学学部長、ドイツLeuphana大学デジタル文化センターNishant Shah様が「アジアにおけるAI」についてお話になりました。
セッション4「AI:労働、クリエイティビティ、著作権」では、ワシントン大学国際関係プログラムのWinfred R. Poster様が「労働とAI」について、サセックス大学からは知的所有権法の専門家Andres Guardamuz様が「アンドロイドと知的所有権」について、日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所所長前田英作様が「AI、ビッグデータ、IoTによる未来」について、大阪大学教授石黒浩様が「アンドロイドと未来」についてお話になりました。
クロージングの基調講演は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、「2020年、さらに先の未来に向けて」と題して、日本電信電話株式会社新ビジネス推進室長2020準備担当取締役栗山浩樹様がお話になりました。
また懇親会では、CGアーティストであり東京大学大学院教授の河口洋一郎様によるアートイベントを企画いたしました。
第2日目の基調講演は、中央大学総合政策学部教授平野晋様が「AIに関する議論のまとめ」についてお話になりました。
セッション5では、「2020年、2030年に向けたアジェンダ」をテーマに、電気通信大学院情報システム学研究科教授栗原聡様が「2020年とその先のアジェンダ」について、ソニー株式会社R&Dプラットホームシステム研究開発本部開発戦略部統括部長藤田雅博様が「ロボット開発の視点から」、ブラジルITSのCelina Beatriz様が「発展途上国の視点からAI」について、情報通信研究機構データ駆動知能システム研究センター(DIRECT)センター長でありユニバーサルコミュニケーション研究所(UCRI)の鳥澤健太郎様が「自然言語の処理技術」についてお話しになりました。
最後のワークショップでは、「AI化された社会に向けて今、求められていること」と題して、ブリストルロボティクス研究所サイエンスコミュニケーション部教授Alan Winfield様とMITのHASTSプログラムAmy Johnson様がモデレーターとなって、参加者全員がテーマ別にグループに分かれ刺激的なディスカッションが行われました。最後に各グループによるプレゼンテーションが行われ、AI研究に関する今後の展開について実り多い議論がなされました。
本国際シンポジウムにおいては、3つの基調講演、5つのパネルディスカッション、3つのトークセッション、ワークショップ、アートイベントという大変充実したものになりました。内容も、人工知能に関して、脳科学から言語、健康、ガバナンス、社会・経済、労働、著作権、クリエイティビティ、発展途上国の問題、ロボティクスと多岐にわたり、2020年、2030年に向けてメインテーマである「ソーシャルグッドのための人工知能」にふさわしいものになりました。
主催: Digital Asia Hub 共催: ハーバード大学バークマンクラインセンター(Berkman Klein Center for Internet and Society at Harvard University ) 、早稲田大学総合人文科学研究センター、総務省、NICT、NTT、株式会社KDDI総合研究所、公益財団法人情報通信学会、the IEEE Global Initiative for Ethical Considerations in Artificial Intelligence and Autonomous Systems
皆さまの温かいサポートのおかげで、無事に国際シンポジウム『ソーシャルグッドのためのAI(人工知能)』を終えることができました。ご登壇頂きました皆さま、共催をして下さった政府・企業・学術団体の皆さま、そしてシンポジウムにご参加頂きました全ての方々に心より感謝致します。本当にどうもありがとうございました!
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