2016年11月3日、Nack5スタジアム大宮にて、スタジアムのスマート化のための第3回目フィールドワークを行いました。第3回も若者たちを対象として調査を行いました今回は実態調査から明らかになった試合のないときのスタジアムの活用案について、簡単に述べたいと思います。
試合のない日の大宮スタジアムの活用法に関しては、6割が「アルディージャ公開練習」(64.4%)、「普段は選手しか入れないエリアに入れるスタジアム見学」(61.0%)と答えています。また約4割が「選手との交流試合」(39.0%)を望んでいました。
インタビュー調査でも、サッカーや選手に関する活用方法が圧倒的に支持されました。特に、「この日だけ〇〇を特別公開」のような限定ものが人気でした。例えば、23歳男性は「公開練習。普段、どういうコミュニケーション取っているか見てみたい。普段、大宮アルディージャは秋葉で練習しているが、そこに行けない時にスタジアムで公開してれば気軽に見に行ける。」と答えてくれました。
また、サッカー以外のイベントとしては、13歳女子中学生は、「サイネージの映画鑑賞会」を選び、その理由として「友達と参加できたら楽しい!開放感があっていいと思う。いつもと違うからイベントって感じがするのもいい」と答えてくれました。一方、20代女性は「川崎のスタジアムは天体観測がある。テントを張って、選手も来る。Nack5スタジアムも屋根がないのでできるのでは」と他のスタジアムを参照して答えてくれました。
さらに、地域住民と大宮以外から来る観客とでは異なった回答が得られました。徒歩や自転車圏内の、比較的スタジアムに近いサポーターは、「楽しいイベントがあれば試合がなくてもスタジアムに行く」と答えたものの、遠くから足を運ぶサポーターからは「試合があるから大宮に来ているので、ない日まで大宮に来ない」と答えました。
このように調査対象者の多くが大宮アルディージャのファンであった第3回目の調査では、試合のない日のスタジアムの利用法としては、試合日では体験することのできない、大官アルディージャの選手に関連した特別なイベントが最も有効であると考えられます。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会におけるスタジアムがレガシーとなるためにはどうしたらいいのか?普段スタジアムには行かない、スポーツファンではない若者のスタジアム活用案については、第4回調査の結果から考察を行いたいと思います。
参考文献
高橋利枝「ICTの利活用による地域の活性化に関する調査研究」NTTグループ委託研究、2017年1月。
高橋利枝(メディア・エスノグラファー、早稲田大学文学学術院教授)