2018年5月15日から17日までジュネーヴで、国連サミット「社会を良くするための人工知能 (AI for Good Global Summit)」(ITU Headquarters)が開催されました。このサミットでは、人工知能に関して4つ具体的な政策プロジェクトが提示されましたー「AI+サテライト」、「AI+ 健康」、「AI+スマートシティとコミュニティ」、「AIにおける信頼」。最後の「AIにおける信頼」プロジェクトは、世界的に著名な哲学者ヒュー・プライス教授が率いるケンブリッジ大学の「フューチャー・オブ・インテリジェンス研究所」が立案したものです。私もケンブリッジ大学から依頼を受けて、この国際共同プロジェクトに参加しています。今回は、国連サミットとこのプロジェクトに関して簡単にご紹介したいと思います。
人工知能のインパクトは一つの国に留まらず、グローバルな影響をもたらしています。そのため国際的な協調や共同研究が必要不可欠となります。しかしながら、人工知能は異なる社会において、多様な宗教、言語、哲学、文学、映画、テレビなど異なる文化的なレンズを通して理解されてきました。そこでケンブリッジ大学はロイヤルソサイエティと共に、人工知能が世界の異なる国や地域において信頼を築き、すべての人類がその利益を最大限に享受するために、人工知能に関するナラティブの国際共同研究を立案しました。私が依頼され、今回国連サミットでお話したのは、人工知能に関するナラティブの日米比較と、具体的な方法論についてです。
3日間にわたって開催された国連サミットを通して、最も興味深かったのは、「良い人工知能に向けて:アクションとロードマップ」と題した最後のセッションでした。『持続可能な開発目標S DGs(Sustainable Development Goals)』に関して、会場から次のような質問が投げかけられました。
「17の開発目標(indicators)が掲げられているが、人工知能はこの中のどの目標に関連するのか? 国連は人工知能に関してより具体的な目標を掲げるべきではないか?」
この質問に対して、ITUのReinhard Scholl博士は次のように述べました。
「人工知能は様々な開発目標を達成するための道具にすぎない(just a tool)。そのため人工知能に関する特定の開発目標が必要なのではなく、人工知能はSDGsの全ての開発目標にインパクトを与えていくものなのである。」
このように人工知能は、今後世界で広く普及し、SDGsをより早く達成するための有力な手段となっていくことでしょう。人工知能から得られる新たな利益を最大限に享受し、リスクを最小限にするためには、国際的な共同研究やワークショップなどの開催により、国の枠組みを超えて協調していくことが大切だと思います。
私が参加しているケンブリッジ大学との国際共同研究「Global AI Narratives (グローバルな人工知能に関するナラティブ)」プロジェクトにおいても、今後、東アジア、アフリカ、南アメリカ、南アジアにおいてワークショップを開催し、知見の国際比較や方法論に関する議論を行う予定です。そして最終的な研究成果は来年の国連サミットにて報告される予定です。
まず第1歩として2018年9月12日に、ケンブリッジ大学との国際ワークショップ「グローバルAIナラティブ〜国連サミット“AI for Good(社会を良くするための人工知能)”への提言」を早稲田大学において開催する予定です!この国際ワークショップに関しては、また改めてお知らせしたいと思います。
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